ホンダ インサイト ケミカルプーラーと波型ワイヤーとパテ仕上げ <2011年4月>
入庫時の状態
今回はホンダのインサイトです。左の側面の修理で左リアドアは交換、フロントドアとリアフェンダーは修理の見積もりです。
作業開始
リアドアは交換なので、それ以外の作業を開始します。
まず、リアフェンダーを板金するために、リアバンパーを外します。
ケミカルプーラーで引き出し
全体の粗だしをケミカルプーラーでやっていきます。
ケミカルプーラーは熱可塑性プラスチックの板金用道具で、ボディに溶着して使います。
ボディーをヒートガンで暖めたところに押し付けると、ケミカルプーラーの先端が溶けて溶着されます。ボディを冷まして、強力に付いたところをスライディングハンマーなどで引き出して使用します、強く引くことができてボディも荒らさないので便利な道具です。
プレスラインが出るまでケミカルプーラーで引き出します。
スタッド溶接機
全体の粗だしが終わったらスタッド溶接で細かく引き出します。ケミカルプーラーは接着面が丸くなっているので、うまく溶着できなかった箇所ができてしまいます。引き出しの足りない箇所をスタッド溶接機で補って面を整えていきます。
細かく引き出してスタッド痕を消してパネルを磨いておきます。
ドア交換
ドアが到着したので、新品のドアの裏側に色を入れて、車両に組み付けます。
ドアを交換したらリアフェンダーとの隙間が確認できるので、ホイールアーチの板金ができるようになります。
ホイールアーチの板金
ドアを取り付けてドアとリアフェンダーの隙間を確認したらホイールアーチのラインを修復します。
ラインの周りが狭いので、ケミカルプーラーでははみ出てしまいます、ここは波型ワイヤーで細く引き出します。
ドアとの隙間が良くなるまで引き出したら、スタッドで細かく均していきます。
フロントドアも板金しておきます
あまり手がはいらないので高いところを潰しながら、なるべく均していきます。
ドアとリアフェンダーを磨いてパテをつけます
いつもなら波型ワイヤーの痕にハンダで仕上げますが、ドア、リアフェンダー共にパテ仕上げです。
パテを研ぎます
ドア、リアフェンダーに付けたパテを研ぎます、ココで使っているのはカーボンファイバーパテです、硬化後カッチカチになるので研ぐのは力仕事です。
塗装
サフェーサーが入ったら塗装の準備です、塗装面全体に足付け(あしつけ)していきます、足付けとは、細かなペーパーで塗装面全体を研いで塗装の密着をよくする大事な工程です。使うペーパーの番手は塗装色によって変えています。
この 足付け(あしつけ)は地味で面倒な工程なので作業の負担を軽減する為に「塗るだけで足付けになるコンパウンド」とか「こするだけで足付けができるスポンジ」「足付けが不要になるスプレー」等、いろいろな用品がでています。
何度も便利そうな謳い文句の用品を試して、何度も裏切られてきた塗装職人の渡辺さんは、頑なにペーパーで全面を研ぐ足付けしか信用しません。
足付け工程は上塗りをしてしまえば見えないし、作業で手抜きをしてもそれがすぐに露見することはありません、あたりまえと言えばそれまでですが、毎回しっかりと確実に細部まで足付けするという、職人さんの実直な姿勢は本当に尊敬します。
乾燥、組み付け、磨き
ブースで最初の乾燥をすませたら、次は赤外線で完全に乾燥させます。
ドアなど、バラバラにした部品を取り付けていきます。
組み付けが終わったら磨きます
完成