カローラ フィールダー 側面修理 <2012年6月>
入庫
作業内容
- フロントドア 修理
- リアドア 交換
- リアフェンダー 修理
リアフェンダーはこのくらい凹んでいれば普通交換になると思いますが、今回はリアドア以外修理します。
フロントドアはインナーパネルまで凹んでしまっています。
リアフェンダーもタイヤハウス前側が激しく凹んでいます。
粗だし
リアフェンダーから修理です。
まず、アウターパネルを引き出す前に、タイヤハウス裏側から叩き出しておきます。カローラのリアフェンダーのタイヤハウス部分はスポット溶接と接着剤のハイブリッドでついていますから、接着剤の剥がれてしまったアウターパネルを単純に引き出してしまうと、数少ないスポット溶接(この車だとタイヤハウスに2箇所)に力が集中してパネルが千切れてしまいます。
その為、アウターパネルを引っ張る前にタイヤハウスのアーチ部分とタイヤハウス内を出しておく必要があります。
写真ではアウターパネルは変化無いように見えますが、タイヤハウス内部とアーチ部分はこの時点で形を整えてあります。
裏側の修理がだいたいおわったので、アウターパネルを引っ張ります。
おなじみのワイヤーを溶接して引き出すんですが、ここでもスポット溶接に負担がかからないよう、引き出す時の支点をパネルの損傷している凸部に作って力を分散させています。
ややこしい説明ですが、要するにパネルの凸部に木材をあてて支点にして凹みにワイヤーをつけて引き出してます。均し板金でいうオフドリー。
ここで使っている「簡易引っ張り機」は 解体した店舗の巻き上げテントから頂いた「ハンドル巻上機」と「切れたタイヤチェーン」と「角パイプ」を使って自作したものです、ハンドル巻き上げ機はタイヤチェーンが架かるようにチェーンブロックのようなコマを作って溶接しました。
簡易プルタワーはいろいろなものが市販されていますが、やはり商品ですからそれなりに丈夫そうで作りもしっかりしてます。あと、軽量タワーでも工場のフロアを支点にしているものは意味が違うし、今回のような作業では使いにくい。
工場のフロアを支点にしないんだから、簡易プルタワーは丈夫じゃなくていいんです。パネルに無理がかかるくらいなら自身が壊れちゃえばいいんだし、そもそも凹みを戻す程度の使い方ならパネルより少し強度があれば十分。
こいつは軽量で、引っ張っていくと自身が持ち上がってしまいますが、バランスがよく使いやすいです。支点のとり方を間違えているとタワーが暴れて教えてくれますし、材料は角パイプなのでパネルにあわせて支点を加工することも容易。
粗だしが終わったら鉄板をキレイにしてつぎのハンダ作業にうつります。
と、そのまえに、
ハイブリッドでついていたフェンダーですが、接着が剥がれていたところはシーリングを詰めておきます、それだけでは心配なので2箇所しかなかった溶接もハンダの前にスポット増ししています。
ハンダ
ハンダメッキがおわったところです、給油口が近いのでテープでしっかり養生してタイヤハウス内もうっかり炙ってしまわないように手近にあったダンボールをつっこんで遮熱板にしてます。
ここからはいつものハンダ作業です
新品のドアとあわせて確認、ハンダ作業は完了
ドア鈑金
フロントドアの板金に移ります、ドアはほとんどが絞りで、叩いて均すのは少しです。アウターパネルと同時にインナーパネルも修理して、インナーパネルは新品のドアを下吹きするときに一緒に色まで入れて終わります。
サフェーサー+パテ
塗装下処理、汚れ油分を除去後、板金で生じた際の塗膜板金キズを#350〜400耐水ペーパーにて当て板を使い、エッジを作りサフェーサーを吹きつけます
地味な作業だが、一番重要で手を抜くと数ヶ月後に結果が出ます。
下処理最終水研ぎ、完全に研ぎをしたら仕上げ塗装のマスキング張りです。
塗装
外気温12〜15℃以下の場合は、ブース内を20℃に保ち塗装、塗面が冷えすぎると流れ、止まりが悪くなり乾燥不良になり、数カ月後には艶引け、痩せの原因となる。
仕上げ塗装開始
オリジナルの色合いを見ながら数回吹付け、また、艶は出さずに均一に吹き付け、インターバル5分くらいでクリア塗装に入る。
クリア吹きつけ、一度に艶を出さずに徐々に艶をだして、肌が新車時と同じに整った所で流れに気を付けて更に艶を出して終了
次は焼付け
ブース内で徐々に温度を上げ、60℃で30分、その後80℃で20〜30分焼付け80℃以上の乾燥が理想だが、ウレタン類の変形また電装機器の狂いが生じるのでダメ。
約50分焼付け終了、完全乾燥できないため再度乾燥する
乾燥
新車肌に仕上げたが、焼付けで艶が引け、まだ引けが生じるため、更に遠赤で乾燥
遠赤乾燥は表面温度は余り上がらず、波長で中から乾燥する。
約15分で乾燥終了
みがき
ゴミ、チリを水研ぎで除去、塗装肌も均一に整えます。
ウールバフにて微粒子コンパウンド磨きで、艶は出さず肌均一の為に、又ペーパー目を取りバフ目を出さないよう。
コンパウンドがバフに詰まるとキズが付きやすくなり、絶えずバフを水洗いして綺麗に磨く。
水研ぎで整えた肌を新車時と同じに、又、照明を当て肌均一及びキズの確認しながら磨いてウール磨き終了 次は艶出し
2回目、スポンジバフにて超微粒子コンパウンド艶出し、ウールバフで取りきれないキズをスポンジで磨き取り又艶を出す。
摩擦熱で艶引けが生じることもあるので霧吹きで冷やしながら磨き
ワックス掛け、完全乾燥、艶、肌、OK
完成