セドリックワゴン 錆びたルーフを一部レストア<2012年8月>
錆びたルーフです
セドリックワゴンのルーフがグズグズになっています。
錆の状態を確認するために、ドリップモールを慎重に引き抜いて、ルーフについているパテを剥がしていきます。
中まで大穴があいています。
さらに丁寧に錆を落としてみます
崩壊しない程度に錆を取除いて、ここまででわかったことは
- 過去にルーフ交換をしている
- その為に溶接部分から錆が進行している
- その後複数回同じ場所の錆補修をやっている
- アウターからインナーまで4枚程のパネルが土に帰った
錆の酷い箇所を切り落とします
切除しなければいけないパネルはインナーまで4枚ありますが、まず外側のルーフだけを切除します。
作業が進むとどうなるのかわからないですが、あとで使うかもしれないので切り取ったパネルをコピーして作っておきます。
次にインナーを切除します。
青い丸で囲まれた部分を切り取って中を確認します。
中の錆を落として、切除の必要ない箇所が確認できたら防錆処理しておきます。普通は防錆塗料だけで済ませますが、防水も期待して上塗りまでしました。
ピラーのインナーから作ります
腐食の程度がわかったので、青い印の箇所、ピラーから作り始めます。
鋼板を切り出して、窪みを作ったり曲げたりして形を作っていきます。
ルーフのほうは差し込めるように加工、ピラー側は面を合わせるように加工、車両に合わせて調整したあとは、ピラーを切り取ります。
ピラーの溶接
パネルを合わせて溶接していきます。
作業前のピラーと見比べると、ちょっと作業が進んだ気がしてよい感じ。
溶接痕をキレイに削ったら、フェンダー側は完成です、つづいてゲート側を作ります。
ゲート側のパネルも作ります。
フェンダー側のパネルから型をとってゲート側を作っていきます。パネルを自作するときは、作りやすいように可展面のパーツに分けてから、溶接で組み立てることが多いのですが。ゲート側は少々面倒でした。
作るのは青丸の箇所
寸法をブリキ板に写し取ってから鋼板を切り出します。
入庫時に原型の無かった箇所なのでインナーの形はどうなっているのが正しいのかさっぱりわかりませんが、ルーフを溶接できるような形にすればよいのだろうという、想像で作りこんでいきます。
車両の右側を見ても、形がはっきりしないので何バージョンか作って合わせてみました。ルーフと溶接する部分の寸法を間違うとルーフが宙に浮いてしまうので慎重に合わせます。
作ったパネルを車両に合わせてみます。
複雑な形です、ここは全く見えない箇所なのにとても時間がかかってしまいました。さっさと溶接してしまいたいところですが、先にルーフドリップを作って調整を済ませておきます。
ルーフドリップを作ります
車両から外したルーフドリップと作ったモノを並べて撮影しました。
形は単純ですが、大事なのは取り付ける位置。
ゲート側のインナーパネルを溶接してしまうと調整が出来なくなってしまうので、この段階で作りこんでおきます。
作ったインナーを全て溶接
ルーフを作ります。
複雑な曲面は避けて分割で作り始めます、鋼板を切り出して曲げていきます。
車両に合わせたら、さらに作りこんでいきます。
作りこみと微調整が終わりました。次にルーフのゲート側を作ります。
ルーフのゲート側を作ります
作る場所はこの黄色い印のところ
ルーフの左側は曲げるだけで形になってくれますが、ゲート側は曲面が多いです。
(A)とか(B)とかわかりにくいですが、鋼板を絞らずに伸ばすだけの方法でやってみました。車両に取り付けて微調整します。
作りこんだパネル。かなり複雑なものになってしまいました。
点付けで仮止めしてから本溶接に移ります。
ルーフを溶接します
ルーフとドリップモールのところはスポット溶接でつけます
溶接痕を削って、はんだ仕上げに移りますが、その前に一度全ての箇所を防錆してサフェーサーまで終わらせます。
途中でサフェーサーを吹いておきます
作業の途中ですが、はんだの前に素地の出た箇所はすべて2液のサフェーサーで仕上げます。
はんだ作業の前に養生しなくて済みますし、はんだ後すぐ研ぎに入れます。
はんだ→研ぎ→サフェを短時間で済ませたいのでこのような工程で進めていますが、車の状態や作業する箇所で作業の順番は変わります
はんだ仕上げ
サフェーサーで仕上げましたが、はんだを盛る箇所を再度素地まで出して、磨いておきます。
はんだメッキから盛り付けまで一気にいきます。
はんだ盛り終了です。
ここから削って形を整えます。
錆びたルーフの一部レストア終了
鈑金作業としてはここまで。
この後の作業はフェザーエッジを作ってサフェーサーを吹くことになります。
入庫時の写真と並べてみます。
ルーフの交換や錆の補修を経てここまできたセドリックワゴン、錆との戦いはまだまだ続くでしょうが、今回修理した箇所は、しばし休息の時を過ごせると思います。
さて、つぎの錆を落としにいきましょう。