VW ポロ(6R)裂けたドアのはんだ仕上げ <2011年3月>
入庫時の状態
今回は VW ポロ のドアとサイドシルの修理です。
全体をざっとみていきます。
ドアとサイドシルが凹んでいる様なのでよくみてみます。
フロントドアは擦り傷と凹みで裏まで変形していました。
ドアをあけるとシーリングがきれています。
リアドアは酷く裂けています。
ドアが裂けてしまった修理は以前に<モビリオ 裂けたドアの修復>でご紹介したことがあります、裂けた箇所も似ていて、修理も同じように行います。
サイドシルは見た目の印象よりも凹みが大きく、かなり引き出す必要がありそうです。
サイドシルを引き出します
ポロのサイドシルは大きく湾曲しているので平らではなく丸くなるように引き出す必要があります。
どの程度引き出す必要があるのかわからないので、右のサイドシルから引き出し量をコピーしておきます、コピーにはアルミのアングルで作った自作スケールを使っています。
引き出し量がわかったら塗膜を剥がして波型ワイヤーを溶接できるようにしておきます。
波型ワイヤーで引き出します。
写真で緑色のモノが自作スケールでコレを当てて確認しながら作業しています、スケールとサイドシルの間にまだ隙間があるので、もう少し引き出す必要あります。
ドアとの隙間も調節しながら引き作業をおこないます。
潰れて膨らんでいるので引きながら膨らんだ箇所をハンマーで潰していきます。
波型ワイヤーで引きすぎた溶接痕もポンチで潰しています、サイドシルはハンダで仕上げるので細かな凹みは気にしませんが、凸面は困ります。
はんだを盛るために素地を磨いておきます。
なぜ素地を磨くのかは、以前に<アウディ B7 RS4 リアフェンダーのはんだ盛り>で書いたことがあります。
磨いたら次ははんだを盛っていきます。
サイドシルにはんだ盛り
盛り付けたハンダを削ってラインを作っていきます。
サイドシルの修理がひと段落ついたら、サイドシルを基準にドアの修復をします。
ドアの鈑金
フロントドアは普通に板金しましたが、リアドアは裂けた箇所を溶接するところからです。
ちぎれていたところをガスで炙りながら引っ張り出して高さをあわせて溶接していきますが、隙間が大きい箇所は真鍮で埋めています。
ドアもハンダで仕上げるので均すよりはひずみを広げないように注意して小さく溶接していきます。
溶接が終わったらキズの凹みを板金します。
フロントドア、サイドシルとの隙間を確認してはんだ作業にうつります。
リアドアはんだ盛り
後でドアを外す必要があるので外してからはんだを盛れば作業は楽ですが、確認の為にドアを着けたり外したりの時間がもったいないのでドアは着けたまま作業します。
また、先に盛ったサイドシルのハンダを溶かさないように遮熱板になりそうなトタンを差し込んで作業しています。
ハンダをけずります。
最後にドアとサイドシルの隙間を確認して問題なければドアを外します。
ドアをはずしたらサイドシルを仕上げていきます、サフェーサーを塗れるようにフェザーエッジを作ります。
サフェーサーを完全に乾かしたらサイドシルの下側にチッピングコートを塗ります。
純正のチッピングがかなり分厚いので馴染ませるのが大変です。
チッピングを吹きました
もう一度全体にサフェーサーを塗ったら乾燥させます。
完全に乾燥させたらサイドシルに色を入れます。
ドアを取り付けるまえにサイドシルを磨いて仕上げておきます。
ドアを取り付けたら塗装します。
ドアの組み立てとボディの磨き
ドアハンドル等を組み付けます。
ポリッシャーで磨きます。
ダブルアクションのポリッシャーで磨いています。
この黄色いスポンジは仕上げ用
完成
サイドシルも引き出して、ドアに開いた穴も修理することができました。
あと、この車の作業写真を見ると思い出すことがあります、塗装の終わったサイドシルを磨いた後のこと、工場の鉄骨にピンと張られた筋交いが小さくカタカタと震えだし「あれ?なに?」と感じた次の瞬間、工場全体が激しく揺れました、とても長い揺れだったことを覚えています。この時、横浜は震度5弱でしが、東日本全体が大きく揺れた1日でした。