アウディ B7 RS4 リアフェンダーのはんだ盛り <2011年12月>
入庫時の状態
今回は、アウディ RS4 のリアフェンダー修理です。アーチモールが付いているのでキズは目立ちませんが、大きく凹んでいます。
ケミカルプーラー
アーチモールを取り外して、凹んだリアフェンダーをまずはケミカルプーラーで引き出してみます。
パネルの引き出しでよく使う波型ワイヤー等のスタッド溶接では、引き出すためには塗装を剥がして素地の状態にしてから溶接する必要がありますが、
ケミカルプーラーはヒートガンでボディを暖めるだけですぐに引き作業に入れます、とても手軽なので、鈑金したことのないパネルなどでは様子見の意味で使うこともあります。


粗だしが終わったら塗装を剥がして鈑金します。
プレスラインを整えて、高いところが無くなるように板金ハンマーで叩いていきます。


鈑金が終わったらパネルを磨いて、はんだを盛りつける準備をしておきます。

はんだ盛り
ハンダメッキからはじめます。


以前「レストア作業でハンダを使いたいのだがサビの上にはんだを盛れるか?」と質問されたことがあります。
結論から言えば「盛れません」と答えました。では「なぜサビの上に盛れないのか」を考えると、逆にはんだを付ける為の条件が見えてきます。
鈑金用のはんだに限らず、はんだ付けの可否を判断する要素に、濡れ性があります、はんだ濡れ性といわれますが、はんだの金属に対する馴染みやすさの事です。
溶かしたハンダを鋼板に垂らしたときにキラキラと綺麗な光沢のまま、溶けた銀色のハンダが水が広がるように鋼板を濡らして広がっていく状態を「良く濡れる」「濡れ性が良い」といいます。ハンダの作業性、強度に大きく影響するので、濡れ性が良いことはとても大事なことです。
この濡れ性は、<はんだ>・<融剤(フラックス)>・<鋼板の表面処理> これら3要素の界面張力のバランスで決まります。
はんだと融剤は同じモノを使った場合、残る一つの要素、鋼板の表面の状態で濡れ性が良くなったり、悪くなったりします。
鋼板の濡れ性を良くする方法とは、簡単に言えば、「鋼板を清掃して磨く」です。不純物、ゴミのない綺麗な金属表面をつくることが、濡れ性を良くすることにつながります。
そこで最初の質問、サビの上にハンダは付くか?の答えはサビの上にはつきませんが、サビを落として素地を磨けば付くかもしれません。となります。
しかし、鋼板のサビを落とす為にサンドブラストを使った場合には、またまた濡れ性の悪い鋼板になってしまいます、サンドブラスト処理した鋼板にそのままではハンダが付きません。
サンドブラスト処理された金属の表面は、滑らかに見えても小さな凹凸で覆われています。ちょっと例えが乱暴ですが、サンドブラストをかけられた表面は 蓮の葉 や サトイモの葉 のような状態になっていると考えればイメージしやすいかもしれません、構造的なロータス効果だろうと思っています。
蓮の葉で水が弾かれ、水の表面張力で玉のような水滴をつくるのと同じようなイメージで、サンドブラスト処理された鋼板の上を溶けたハンダが玉のように転がってしまって鋼板にはんだが馴染みません、はんだをつける為にはサンドブラストをした後に丁寧に鋼板表面を削って平滑にする必要があります。
話が長くなってしまいましたが、要するに、ハンダをつけるためにはサビを落として鋼板を清掃して丁寧に磨きましょうということです。
さて、作業に戻ります。
ハンダメッキのうえに溶かしたハンダ棒を溶かしつけていきます。
盛り付けたハンダをヘラでのばします。



はんだを削ります
フレキシブルホルダーで全体をざっと削ります。
波目ヤスリ単体でプレスラインを作っていきます。
サンダーでエッジにはみ出たハンダを落としています。
アーチモールを合わせてラインを確認しています。
削り終わりました。
塗装の準備
なんとサフェーサーが紫です、カラーサフェみたいですね。
サフェを研いで塗装の準備です
キズのあるバンパーも塗装します。
バンパー全体に足付けしています。
ブースでマスキング
塗装
塗装職人の渡辺さんが塗っている風景をヤラセですが撮影させてくれました。
「こんな感じだよ」と塗装の形を再現してくれてます。
次はクリア塗装になります。
小物も塗装
バンパーのクリア塗装です
塗装終了
乾燥と磨き
ブースで一回目の乾燥後に赤外線で乾燥させます。
塗装の肌を合わせるように磨きます。
バフで磨いています。
完成