2013年1月に始めた放置実験のその後<2018年6月>

2018年8月27日その他実験,,防錆

放置実験をやっていました

過去の記事を掘り起こしていると、「空いた時間で放置実験」という記事をみつけました、書かれたのは2013年の1月です。

内容は「錆びた鉄板にいろいろな防錆処理を施したりして、そのまま放置しておこう」というもので、思いつきで実験を始めたものの結果を報告することもなく時は過ぎてしまいました。

しかし、実験装置は工場の片隅に置かれ、ひっそりと実験は続いていたのであった!!

というのはちょっと嘘で、単に忘れて、本当に放置されていただけです。。。

当初の思惑通り、充分に放置することが出来たことですし、
今回、良い機会なので5年放置した実験結果をお伝えしようと思います。

実験開始時の状態

実験に使われた素材は、レストア作業で切り取った旧車のパネルをさらに8枚に切り分けた、要するに錆びた自動車鋼板です。

錆だらけの鉄板8枚を、サンドブラストを使ってきれいな素地の状態にしてあります。

当時の記事には、サンドブラストの効果と上塗りへの影響に興味があった為に、普通の鉄板ではなく、錆びた鉄板を、さらにサンドブラストした状態のモノを選んだようです。

サンドブラストされて素地が綺麗になった鉄板に、それぞれ違った物を塗って、ベニア板に貼りつけています。
貼り付けにリベットを使っているので、電蝕の影響もあるのではないかと予想していたようです。

当時の記事に「何を塗ったか、結果がでるまで非公表」などと書いておりましたが、塗ったモノは以下のとおりです。

  1. 素地にそのままクリヤー塗装
  2. 1液ラッカーサフェーサー(上塗り無し)
  3. 某社の錆転換剤(上塗り無し)
  4. 某社の常温亜鉛塗料(上塗り無し)
  5. 某社の密着力重視のプライマーに上塗り
  6. 2液ウレタンサフェーサー(上塗り無し)
  7. 素地に弾力性のあるチッピング(上塗り無し)
  8. 未処理の素地

上塗りが有ったり無かったりで、ちょっとバランスが悪いですが、空いた時間でやったことなので大目にみてください。

放置場所は、屋外駐車場の脇、一応屋根下。

雨ざらしという事は無いけれども、飛沫は飛んでくるような場所、高さは地上から2m位のところに吊るしていました。

現在の状態

5年経った実験装置です、ベニヤ板のくたびれ具合も風雪を感じさせる仕上がりになっています。

作業者目線で酷いものから順番に一枚ずつ見てみます

板番号8.未処理の素地

当然の結果ですが、未処理だけあってボロボロです。
こうなる前に防錆は大事ですね。

板番号1.素地にクリヤー塗装

もしかしたら、クリヤー塗装で空気と水を防げれば、なんとかなるか?と思っていましたが、残念。
錆の発生を止めることはできません。

板番号3.錆転換剤

錆転換剤というものは製品によって成分が大きく違うようですが、不安定な赤錆の状態を安定させるモノと思ってます、実験の様に磨いた素地に塗るのは本来の製品の使い方とは違うかもしれません。
赤錆の上に塗った場合の結果はどうかわかりませんが、上塗りなしでは錆の発生は抑えられなかったようです。

板番号5.密着力が売りのプライマー

このあたりから見た目の錆に大差ありません。
あくまで、作業する者の目線で、錆の発生と作業性とを比べて、ダメだなと思う順番です。

缶スプレーの上塗りです、上位のモノに比べると錆の根が深そうに感じます。
このような穴の中から錆がでてきて、さらに根が深いものは作業性悪いです。

この上にいくら上塗りしても、錆を抑えることは難しいでしょう。
再度サンドブラストの必要があります。

板番号2.1液ラッカーサフェーサー

こいつはもっと悪いだろうと予想していました、なので、よくぞここまでたえてくれたな、という印象です。

上塗りは当然必要ですが、1液のラッカーで十分なところもありそうですね。

板番号7.素地にチッピングコート

チッピングコートとは飛び石などからボディを守る、密着、防錆、耐衝撃がすぐれている塗料です。塗料の色が黒いのでちょっとわかりにくい。
サンドブラスト跡の穴からすこし錆が発生しているようですが、全体的に錆は少ないです、スクレーパでも剥がれないので密着も悪くない。

2液ウレタンサフェーサー

サフェの色が薄いので錆ているように見えますが、チッピングとは違って、サンドブラストの穴からの錆が少ないのは作業者から見ると、とても良いです、安心して作業できます。しかし、実験結果は1位ではない、さらに上がいるのでありました。

板番号4.常温亜鉛塗料

いやー、これはすごいな、ダントツです、錆びていない。
まったくといって良いでしょう、目視で錆ゼロです。
手軽に1液で使える防錆塗料としてはすばらしいです。

これほどの防錆性があるのなら、下地は全て常温亜鉛塗料で済ませるのがよさそうに思えますが、上塗りを前提とした下地には使いにくい塗料だと思います。さらに塗布後は溶接も困難になるので、作業性でいえば2液のウレタンサフェーサーに劣ります。

塗装の必要の無い箇所、外装パネルの裏やシャーシ等を任せるのがよさそうです。

アルミと鋼板で電蝕の影響があるかと思いましたが、どの実験板も特にリベットの周りだけ酷い状態ということもなく、よくわかりませんでした。

実験結果は以上です。
1位になった常温亜鉛塗料には上塗りを前提としたエポキシ樹脂を混ぜたものもありますが、自動車のボディに使ったらどうなるのか、正直わかりません。

これで5年越しの実験のご報告が終わりました。
さて、実験装置もポイしちゃっても良いのですが、いままで放置していたのだから、このままさらに置いときます、いつか忘れられて、捨てられちゃうんでしょうね。


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Posted by YAGI