R32 スカイライン リアフェンダーの鈑金やり直しと一部レストア <2008年4月>
R32 スカイライン
リアフェンダーの凹み修理でのお預かりです、側面をザザザーッと擦っていて、凹みはありますが凹みの程度はそれほどでもないようにみえます、しかし、割れた塗料からパテが見えるので修復歴があります。



割れたパテを剥がしてみます
割れ目からスクレーパーを刺し入れて、パテの下がどんな感じか様子をみてみることにします。

剥離にはハロゲンヒーターを使うことが多いのですが、パテの厚みがあるのでヒーターではパテが少し暖かくなる程度の効果しかありません。
ガスで炙って剥がします。

ガスでも、なかなか手強そう。

ちょっと想像よりのパテの層が厚く広くなってきました。
パテが分厚く付いているなら、そのままフェンダーを研いで上からパテを付ける方法は使えないのか?と疑問に思われそうですが、凹み修理の場合は難しいと思います。
パテを剥がして鈑金をやり直す、似たような修理を以前にもご紹介したことがあります。
怪しそうな箇所は剥がして修理することにします。

何層にも色分けされたパテが出てきました。

修復歴のある車を修理するときには、なんというか、よその家の台所に入った時のような、居心地の悪さというか、妙な感覚になることがあります。
子供の頃、友達の家にお邪魔した時、居間の奥の玉暖簾の隙間から、チラッと見えるよその家の台所は未知の領域で、そこの家族以外の者が足を踏み入れてはいけない、覗くことも憚られる場所だと子供ながらに感じていました。
その台所から友達がジュースを入れたコップを持って居間に戻ってくるとき、くぐった玉暖簾の揺れる隙間から、テーブルに置かれたマヨネーズとケチャップが見えた時には「えっ!?、それって冷蔵庫じゃないの!」と驚いたものです。そうなんだ、他所と家とは違うんだ、そんな感覚です。


鈑金パテの色が工場によって違うので、なんとなく、そんな感覚になるのかもしれません、「あ、パテが黄色い」とか、「お、緑のパテだ」とか、そんな他所のルールを垣間見た感じがします。
さらに、パテを剥離をすることで、他人が一生懸命やった仕事を粗末にしているかもしれない、という背徳感もあいまって、他所の家の台所を覗いてしまったような後ろめたさを感じているのかもしれません。

さて、剥離を続けます。

ラインの上まで剥離が終わりましたが、全体の凹みが大きいです、

プレスラインの角も潰れているようです、ラインを修復するためにサイドシルプロテクターで隠れている箇所も同時に修理することになりました。

R32の特徴的なブリスターフェンダーの膨らみも、ちょっと強引に凹ませた感じでしょうか。

ホイールアーチの塗膜を剥がす為にマッドガードを取り外しました。

大きなマッドガードなので見えませんでしたが、サビが発生していてリアフェンダーに穴があいています、穴というか形が無くなっています。

ここは切継ぎのレストアが必要です。

これで状態の確認ができたので必要な作業をまとめます。
- フェンダーの前側は鈑金のやり直し
- マッドガード裏は切継ぎレストア
- 潰れたプレスラインはハンダで復元
という作業を行います。
では鈑金に移ります
全体が低いので強めに押し出していきます。ここで使うハンマーは普通の鈑金ハンマーで、ヤスリハンマーに比べて重量があるので歪みを移動させるのに向いています、というか鈑金ハンマーの出番は粗だしの初期段階がほとんどです。ヤスリハンマーよりも見た目の<鈑金してる感>はあるんですけどね。

鈑金ハンマーの使い方は、ほとんどがオフドリーです。

ヤスリハンマーの場合はほとんどがオンドリーです。

ヤスリハンマーを使ったオンドリーの音は突き抜けるような鋭い音になります。

フェンダーの深い所にまで当盤を差し入れています、手を伸ばして当盤を保持するのは腕力が必要。実は、いつも鈑金風景で見えているヤスリハンマーよりも裏に当てている当盤を押し付ける強さと精度が重要です。

フェンダーのふくらみを均していきます。

潰れたラインにはんだ盛り
ハンダメッキから盛り付けまで一気にいきます。








鈑金ではんだの境目をならしながら削っていきます。

マッドガード裏のレストア
フェンダーの前側と同時に、追加のレストアも進めていきます。

あまり準備などもなく、ざっくり切り取りました。

インナーを先に作って溶接しておきます。

溶接したら、アウターパネルを作ります。

淡々と切継ぎパネルを作って溶接していますが、R32のマッドガード付近は、何度も作ったことがあります。腐りやすい定番のレストアポイント、R32の弱点の一つといっても良いです。
R32の弱点といえば、もう一つ、ジャッキポイントの腐食もあって、こちらもフロアの修理や補強など何度も行いましたが、それはまたの機会に。

突合せ溶接でいけそうです。

溶接したら周囲と馴染むように鈑金しておきます。

鈑金できたらはんだを盛り付けていきます。

毎回、はんだ盛りで使っているヘラ、実は紙の板でできています。

次は波目ヤスリや、鋸刃で形を整えます。






リアフェンダーの鈑金した箇所を磨いてサフェーサーの準備
範囲が広いのでパテをつける前にサフェーサーを塗っておきます。


パテの必要が無い場合はそのままサフェーサーで終わりますが、パテをつける場合は普通、磨いた素地に直接パテをつけます。
しかし、今回はリアフェンダーのほとんどの素地をだしてしまいましたので、パテを研いでいる間にサビが発生しないよう防錆を優先させて、サフェーサーを先に塗っておきます。
このようにサフェーサーの上にパテをつける順番になる場合は、サフェーサーをしっかりと、完全に乾燥させる必要があります。


パテを研いで面を出していきます。


マスキングして塗装
ドアからリアフェンダーまで塗装します。


同時にサイドシルプロテクターとマッドガードも塗装しました。


磨きと組み付け
赤外線でしっかり乾燥させたら磨き作業に移ります。


プロテクターやマッドガード、テールレンズにバンパーを組み付けたら最後の磨きで仕上げます。

完成
切継ぎした箇所もマッドガードが付いてしまうと、当然全く見えません。
見えませんけれども、しっかりと形を作って修復しました。




切継ぎのレストアも発生して、思っていたより大掛かりな修理になりましたが、きれいに仕上がりました。
さて、今回の記事で60本目となりました、旧サイトに書かれた記事が70本弱だったので、記事の数でみるとサルベージもあと残りもう少しです。