アウディ A4 サーキット走行用のけん引フック作製<2009年1月>
けん引フックが欲しい
車はアウディ A4 クアトロ 3月に筑波で行われるカーレースに出場するので、「サーキット走行で使えるけん引フックを作って欲しい」というご依頼です。
レースに限らず、サーキットを走行するならけん引フックはあったほうがよいですよね。
現在のフックがどうなっているのか確認してみると、この車の牽引フックは着脱ボルト式ではなくて、フックが溶接されているタイプです、また、牽引フックはバンパーカバーを外した奥にあるのでレースに出るためにはきちんとした牽引フックを用意するように指示されたようです。
お客様に要件を伺ったところ。
- 着脱式。
- 可倒式。
- フックの色は赤。
- 純正の状態に戻せること。
と云うことです。形状はよくある市販品の着脱式牽引フックをイメージしているようなので、問題は取り付け方法になりそうです。
仕様を考えます
純正に戻す条件なので標準のフックを残したまま、フックを挟み込むようにナットを固定してやってみましょう。
材料は工場に有るもので考えます、可倒式フックは6mmのフラットバー、着脱部分はM18の長いボルトとナットがあるので、これらを使えば丈夫なモノが出来そうです。
フラットバーとボルトとナットとワッシャーだけですが、削ったり溶接したり組み合わせるとこんな感じにできそうです。
作ってみます。
標準のフックを挟む様にナット着脱式のナット部分を作っておきます。挟んでしまったので標準のフックは見えません。ナットに刺さっているのはただのM18のボルトですが、これから色々とパーツを付けて可倒式フックを作っていきます。
フラットバーを切り出して可倒式のヒンジを溶接。ヒンジの材料もボルトとナット。
細かなところを作り込んでいきます。
車輌に取り付けたときの角度が水平になるように根元のナットの位置を調整したら可倒式フックは完成です。
作ったモノを磨いて仕上げます。
塗装します。
塗装色はお客様指定の赤色ですが、JAF の競技車両規則によると、けん引用穴あきブラケットは「黄色、オレンジ色あるいは赤色に塗装されていること」という規定がちゃんとあるんですね、あと、「ブラケットの内径の角部はRをつけて滑らかにすること」という滑らか仕上げ規定もありました。
完成!
シルバーはメッキで仕上げれば格好が良いのでしょうが、今回のレースで使うだけなのでシルバー塗装で仕上げました。
後日
お客様から筑波サーキットで牽引フックを装着した写真を送っていただきました。