R33 GT-R トランクの雨漏りを止める <2009年3月>
R33 スカイライン GT-R
今回ご紹介するのは雨漏りの修理です。
雨漏りの修理で入庫したわけではなく、修理のついでに見て欲しいというご依頼ですが、作業をはじめると意外と大掛かりになってしまいました。原因から察するに、この症状が起きている車両は多いのではないでしょうか?
では、現在の状態を見てみます。
トランクを空けたらスペアタイヤのところに水が溜まっていました。
スペアタイヤを外すと錆が出ています。
カーペット、内装を剥がして、漏水痕を探します。
目立つのはトランクのヒンジ裏、黄色でマークした付近です。
漏水確認の為にルーフから水を掛けてみると、しばらくして漏水してきます。
R33のリアガラスモールを留めるグロメット付近は定番の雨漏りポイントですが、グロメットだけが漏水箇所とはかぎりません。漏水箇所を特定するためにグロメットをマスキングしてさらに水をかけます。
まだ漏水してきます。グロメット以外の漏水箇所があるはずなので細かく見ていきます。
ガラスのコーナーに怪しい箇所があるので、車内からエアを吹き付けると黄色マーク付近からエアが出てきました。
リアフェンダーの交換をした車であれば溶接箇所のサビを疑いますが、交換歴はなさそうです、あとは、リアガラスのシーリング不良なのか、ボディパネルのシーリング不良なのか判断ができませんが、一時期の日産車のパネルシーリングは硬化しやすい印象があるので、この車もボディパネルのシーリング劣化の可能性が高いです。
雨漏り修理でよくある失敗が、一箇所漏水を見つけるとそれで満足して検査をやめてしまって、他の漏水を見逃してしまうことがあります。犯人は一人とは限りません。
さらに検査
シーリング劣化の可能性が高いなら、その他のシーリングも疑うべきなので、他の箇所も検査していきます、トランクのシーリングは他にエンドパネルとリアフェンダー付近なので、そこに水をかけてみることにします。
しばらくすると漏水が確認できました。テールレンズ付近もブチルゴムの硬化とパネルシーリングの劣化両方考えられますので、レンズを外して確認します。
ブチルゴムを暖めて、バリバリと剥がします。
ブチルゴムを取除いて検査すると、黄色でマークした箇所から漏れを確認できます。シーリングの劣化で間違い無さそうです。
大掛かりになりますが、リアガラスを外し、テールレンズも左右外します。
確認できた漏水箇所は黄色のマークです、モールのグロメットは全て交換してシーリングします。右側は漏れを確認できませんでしたが、トランク周りのシーリングは硬化しているのですべて直します。
左のリアフェンダーは交換歴はありませんが、ホイールアーチに凹みがあります、想像ですが、硬化したシーリングがリアフェンダーをぶつけた衝撃で剥がれたのかもしれません。
シーリングのやり直し
塗装します。
錆びていたトランクの内側も塗装します。
ガラスを戻します
リアワイパーのナットもサビが酷かったので交換しました。
雨漏り修理完了。
今回はその他の修理との関係で塗装やシーリングのやり直しを行いましたが、雨漏りの修理が目的で、仕上がりの見た目もそれほど気にしないなら、パネルの合わせ目にシーリングを追加するだけでも効果あると思います。
ただ、リアガラスからの漏れもある場合は業者に頼んだほうが確実ですね。
雨漏り箇所を特定するのは簡単ではなくて、ディーラーの雨漏り検査では特設のシャワーブースで毎時何トンもの水をかけていますが、町工場ではそういうわけにもいかず、ホースで怪しいところに水をかけてみるという地道な方法で探り当てていきます。
特定に時間はかかりますが、それでも、まだ、雨漏りの修理は放置検査ができるのが救いです、雨漏り以上に厄介な修理が「異音」です、異音は困ります、非常に厄介です。「走行中に異音がでることがある」等の修理もご紹介したいところです。